2013年9月14日土曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Somebody stop me!]


メモの日時;1983年8月4日(木
タイトル: [Somebody stop me!]
Episode; 0540


主人公は警察に努める事務官バート。醜い容姿のために女性に避けられており、それが母親の心配の種でもある。今からデートとの言葉に一瞬喜ぶも、その相手が警察の殺人課に勤務するチャーリー・スミスと知って落胆。
そしてバートが外出する際に話題になったのは、彼の部屋に飾られている女性の写真。この女性グロリアはナイフで刺殺されたとのニュースが流れており母親は心配するも、単なる知り合いとバートは一蹴。
外出したバートは同僚のチャーリー・スミスと食事。そこに同席していたのがアネッサ・ローズ。アネッサと付き合っているとチャーリー・スミスではるが、バートに彼女をデートに誘うよう勧める。チャーリーが店を出た後、バートは意を決してアネッサにデートに誘うが、すげなく断られてしまう。
自宅に戻ったバートは部屋にアネッサの写真を飾る。そして、バートは勤務を終えたアネッサを家まで送ろうと申し出るが、キッパリと断られる。醜い故にと面と向かって罵倒されたバートはアネッサを刺殺する。“醜い顔を二度と見ないですむように”、と。翌日、アネッサ刺殺のニュース。母親は今度も部屋に飾られていた写真が刺殺されたことを心配するが、バートは意に反さない。
バートは外出し、同僚のチャーリー・スミスと会う。ふたりは殺された二人の女性の話になり、バートは殺されたふたりには共通点があり、彼女達のボーイフレンドが怪しいのでは、などと話すと以外にもチャーリー・スミスが動揺。実はこの女性たちはチャーリー・スミスの不倫の相手であった。
結婚もし、3人の子供をもうけたチャーリー・スミスであるが、殺人といった過酷な仕事からの癒しを求め二人と関係をもったのだが、ふたりは関係をチャーリー・スミスの妻に知らせると脅迫されていたと告白する。
ふたりは席を変え、とある酒場に。そこで現れたのがモード・リジンスキーという女性。彼女はハンサムなチャーリー・スミスに一目ぼれするが、チャーリー・スミスはすぐに店をでてしまい、ビールをもってきたモードは落胆するが、バートは眼中に無かった。
バートの部屋に今度はモード・リジンスキーの写真が飾られている。バートの母親は、モードが殺された二人の女性と同じ運命を辿らないことを祈る。
バートはモードの店に出向きデートに誘うが、断られてしまう。自宅に戻り眠ったバードは悪夢にうなされ、母親に写真を飾った女性二人を殺したと告白するが、母親は信じたくないと聞く耳をもたない。
バートはモードの部屋に出向く。しかし、自分のことをまったく覚えていないことに怒り、絞め殺してしまう。翌日バートの自宅で母親はモード・リジンスキー刺殺のニュースを聞く。バートは自分が殺したと話すが、母親は聞こうとしない。
翌日警察署でチャーリーは女性3人を殺害したのは自分だとバートに告白する。心理治療を受けているチャーリーは自分が殺したと思い込んでしまったのだろう。それを聞いたバートは3人を殺したのは自分だと白状するが、チャーリーはそれが友情故のことであると取り合わない。ふたりは酒場にでかけそこでドリーンという女性に出合う。
バートの部屋には今度はドリーンの写真が飾られる。そんなとき、ニュースでチャーリー・スミスが自殺したとのニュース。グロリア、アネッサ、モードの3人を殺したとの遺書を残していた。自分が犯人であると主張する息子のバートに対し、このニュースで事を納めようとした母親ではあるが、その後にドリーン殺害のニュースが流れるにおよび、バートの懇願を受け警察に連絡をとることになる。

2013年9月12日木曜日

CBS Radio Mystery Theater  [A Question of Identity]


メモの日時;1983年8月3日(水)
タイトル: [A Question of Identity]
Episode; 0731



身元(identity)を証明するすべてのものを奪われ、宝石泥棒の犯罪のプロットに巻き込まれた男の話。
ニューヨークの宝石商で働く主人公ポール・チェイパン。商売が上手くいかずボスであるモルクに呼び出され、てっきりクビを宣告されると思いきや、1000個ほどの原石を見せられ、アムステルダムの研摩士の元に届け商売の交渉をするように,との話し。
ボスによれば、税関の書類も準備済み。ホテルも決めており、そこのマネジャーのハンス・コペル、コンシエルジュのバナー・グルーにも話しを通してあるので、直ぐに出発し、夕刻の6時頃チェックインすればいい、とのこと。
指定された6時にホテルに到着。コンシエルジュのバナーがすべてを差配。宝石の入ったアタッシュケースをホテルの金庫に入れ821号室に。不思議な事にコンシエルジュのバナーはマネジャーのコペル氏とポール・チェイパンの接触を遮ろうとする。部屋に入るとメードのヒルダがマネジャーのコペル氏からのwelcome drink。8時に夕食の予約をし、ヒルダにすすめられるままワインを飲む。
翌朝、マネジャーのコペル氏がコンシエルジュのバナーにポール・チェイパンの様子を聞くと、すでにチェックアウトとのこと。コペル氏は不可解な様子。その時コンシエルジュのバナーにポール・チェイパンから連絡。夕食が遅れる、と。もう朝だと伝えると驚くチェイパン。それ以上のポールの驚きは、コンシエルジュのバナーが自分のことを、エドマー・モリスと呼び、部屋も822号であり、821号のポール・チェイパンはすでに宝石一杯のアタッシュケースを受け取り、チェックアウトしているとのこと。
驚愕のポールに対応すべくマネジャーのコペルが822号に向かい、事情を聞くが、身元(identity)を証明するものがなにもなく警察に留置される。で、アメリカ領事館のアダムス氏の登場。事情を聴き、罠にはめられたと判断する。容疑者はコンシエルジュのバナーとメードのヒルダ。そしてFBIに照会の結果エドマーモ・モリスは国際的な宝石泥棒と判明。人相など罠に嵌められたエドマー・モリスと仕立て上げられたポールとは似ても似つかぬ人物であったことは言うまでもない。
そして新たな容疑者登場。それは突然ニューヨークからアムスゲルダムに現れた宝石商モルク氏。領事館のアダムスは、時間的にみてモルク氏が知るはずのない宝石盗難のことを知っていることに疑念を抱き、モルク氏を監視。結局モルク氏がエドマー・モリスのもとを訪ね、分け前のことで諍いを起こすも、当初の取り分より1万ドル少ない4万ドルで手打ちし、部屋を出たところで御用となる。宝石泥棒として悪名高いエドマー・モリスは、素人と組んだことに後悔し、話しが終わる。

2013年9月6日金曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Dialogue with Death]


メモの日時;1983年8月2日(火)
タイトル: [Dialogue with Death]
Episode; 0662

話は主人公ジョージと家政婦ハンナの対話の形で展開する。
解剖学の講師として働くため、数年ぶりに実家に戻ってきた主人公ジョージ。駅に迎えにきた知人の娘ジェニーが見違えるように美しい女性になっていることに心ときめく。ジェニーの両親は10年前に火事で亡くなり、亡くなった両親に代わってジョージの父親が面倒をみているようである。
彼女と共に自宅へと向かう道すがら、彼女の奇妙な言動に気づく主人公。既に亡くなった愛馬を今でも生きているように話す。ジョージの父親もそのことはわかっているようだが、そのことをジェニーに指摘することなく静観するようにとジョージに告げる。
日々が過ぎ、ジョージはジェニーに結婚を申し込む。するとまたしても彼女の不可解な行動。ジェニーは母と父に承諾をもらわなければと、ジョージに告げる。ジョージは父親にそのことを話すと、ジェニーの心はこの世とあの世を、振り子のように行き来している、と。自宅が焼け落ちる時、窓から助け求めて叫ぶ母の姿を見ており、その時以来、生と死の世界の狭間をデリケートなバランスで生きているとのだ、と。そして、驚いたことに、それを黙って受け入れなければ、お前を殺すと父は銃を向ける。結局冷静さを取り戻した父は、ジョージに謝り、銃の受け取りを渋るジョージに銃を手渡す。何故に父はそれほどジェニーを受け入れようとするのか、との問いに家政婦のハンナは、父はそれほどまでジェニーを愛しているのだと言う。
結婚式も真近に迫り、結婚式の衣装についてもジェニーは母と相談すると言った行動をとる。意を決したジョージは父の忠告を無視し、ジェニーを両親が眠る墓に連れて行き、両親の死の事実をジェニーに突きつける。その結果は最悪の事態に。ジェニーはサマーハウスに火をつけ亡くなってしまう。ジェニーの死に引き続き、その彼女を追うようにジョージの父親も亡くなる。父親の死はジェニーのいる世界で共に過ごしたいという父親の望みであると信じるジョージは、それを許すことができず、父親に先んじてジェニーと共に過ごしたいとの思いから、父親から預かっていた銃で自らの命を絶つ。
ということで、家政婦とジョージの会話は、あの世のジョージとこの世の家政婦ハンナの会話であった。そして、たまに現れ話をしたいとハンナに告げて話を終える。

2013年9月5日木曜日

CBS Radio Mystery Theater  [A Tale of Two Worlds]


メモの日時;1983年8月1日(月)
タイトル: [A Tale of Two Worlds]
Episode; 0738



主人公は連続ドラマに7歳から20歳に至るまで13年間出演を続け、現実の人生とドラマで演じてきたフィクションの人生の境目が渾然一体となった青年に起きた摩訶不思議な物語。
ドラマで義理の父親に殺されかけた青年。当初のプロットでは、ここで奇跡的に助かるはずであったのだが、1年前に就任したプロデューサーの意向で、ここで死んでしまうことになる。そんな話を前もって知らされていなかった青年は、ドラマでの「死」を現実の「死」を同一視する。子供の頃からドラマと共に人生を送ってきた青年には現実世界とフィクションが渾然一体となってしまっていた。
ディレクターは契約期間終了前での「降番」であり、出演料は期間中貰えるのだから、ゆっくり別のドラマ出演の機会を探したら、などとアドバイスするが、そんな話が青年に通じるわけもなく、青年はプロデューサーに詰め寄り、自分を殺さないで、と訴える。しかし、ドラマでは彼の葬儀までプロットが出来上がっていると、その願いを冷たく突き放したプロデューサーに青年は怒り、その態度にプロデューサーは恐怖を覚えるようになる。
撮影現場での事故にも青年の殺意と恐怖を感じるプロデューサーは、警察に青年の逮捕 を望むが、証拠がなければ逮捕できない、と。仕方なくプロデューサーは「注意」してもらうことを依頼する。
一方で青年の母親役の共演者は、青年の気持ちも共有し、またテレビ番組を見た視聴者もこの場面で青年が消え去ることを望んでいない、といったアンケートの後押しもあり、ディレクターにプロットを変更し撮り直しを願う。余分の予算に渋るディレクターを説き伏せ、プロデューサーに相談することなく、脚本家にプロットの書き換えを承諾してもらう。
で、変更し、最新の医療設備で青年を「生かす」プロットのフィルムチェックの場にプロデューサーが現れ、変更に怒る。が、そのフィルムの中で、重体で横たわる青年の場面に、窓に青年が映るとプロデューサーが怯える。ディレクターも共演者もそんなものは見えない、といった話をしている時に警察からプロデューサーに電話が入る。
電話の内容は、青年が自動車事故に遭った、と。そして危篤状態であったが、奇跡的に回復したと告げる。その奇跡が起きた時刻は、プロットの書き直しで、青年が「生き返る」ことになった時刻と同じ午後5時25分であった。

2013年9月4日水曜日

CBS Radio Mystery Theater  [The Aurora Group]


メモの日時;1983年7月29日(金)
タイトル: [The Aurora Group]
Episode; 0597


主人公は平凡で落ち着いた日々を送っているザッカリー・テーラー・エバーハート。その彼に不可思議な出来事が引き続いて起こる。最初の出来事はポケットに入っていた25セント硬貨。日付が1986年と未来の日付となっている。続いて起きたのは新調の服についたコーヒーの染み。その染みは数年を経た古いものであり、新品の服につくことはない。更に、帰宅し妻エマの姿を見ると、頭髪が白髪。顔も老けている。驚いてエマに伝え、鏡で確認するがその時には既に元の彼女に戻っていた。妻のエマは疲れているからだろう、と。
それからしばらく経ったある日、エバーハートが帰宅し解雇されたことを妻に伝える。驚く妻に彼が言うには、自分の働く会社がシカゴにあるオーロラグループという企業に買収され、再編に際し彼の所属する部門が閉鎖されたとのことである。人生を狂わされたオーロラグループに怒りを感じるも、新たな職場を探し、条件は良くないが職に就く。妻のエマも古美術店に職を求め働くことなる。
新たな職場で働き始めたエバーハートはコーヒー店でコーヒーをこぼされたことをきっかけにある女性ステラと知り合い、自分に起こる不可思議な出来事を理解してくれない妻への不満もあり不倫関係に陥る。
そして、またしても不可思議な出来事。妻の古美術店にあった短剣の「説明書き」のタグがエバーハートには「証拠品1」と見えると妻に伝える。「証拠品1」とは殺人事件の犯行の証拠品として法廷に提出されるものである。妻は医師に予約をとり診察をしてもらうが、そこでも不可思議な出来事。医師が髭をのばしている姿が見え、医師に聞くと、これから髭をのばそうとしているのだ、と驚く。また、診察のとき、妻殺しで裁かれるエバーハートの法廷に証人として出廷し、エバーハートの精神状態を証言する医師の姿を目にする。
医師には今までに起こった不可思議な出来事、「未来が見える」と説明するも信じてもらえず、不倫関係の彼女との関連で妻を殺すことを夢想しているのだ、と。しかし、この未来が「現出」する出来事に、このままでは妻を殺すことになるとエバーハートは妻のエマにも愛人のステラにも告げず出奔。
それから数年を過ぎたある日、エバーハートがカレンダーを見ると1986年の7月。この時期になって、妻を殺す気持ちがないことに安心し住んでいた街に戻る。最初に訪れたステラの元で知らされたのが妻エマの現状。エマは務めた古美術店で実績を挙げ、その親会社であるオーロラグループの副社長となっていた。
驚いたエバーハートは25セント硬貨をステラから借り電話するも通じない。そして直接エマのもとに訪れ、自分の人生を狂わしたオーロラグループの副社長となっていたエマを短剣で殺害する。エバーハートの体験した出来事がすべてそのとおりになってしまったわけである。

2013年9月3日火曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Death Is Blue]


メモの日時;1983年7月28日(木)
タイトル: [Death Is Blue]
Episode; 0626


女性私立探偵 ジュリア・ホフマンのもとに男が現れる。名前はエドワード・バスカム。彼は妹マチルダの結婚相手の調査を依頼する。見栄えも良くなく40歳にもなる妹に近づき、結婚しようとするその男ダローの目的は妹の財産目当てである、と。そして、その証拠を見つけ、結婚を断念させたいと話す。
調査を開始すると直ぐに結婚相手の男ダローは前科があるのがわかる。私立探偵のジュリアはそのことをマチルダに告げるが、そのことは知っていた、と。始めて掴んだ幸せである結婚を諦める気持ちはない。更に調査を進めると、ダローには愛人があり、金騙し取った後はヨーロッパに高跳びの予定。更にダローは消費者金融業者に多額の借金があり、借金の取り立て人に追われていることもわかる。
このような事実を掴んだ私立探偵のジュリアが依頼主の男エドワード・バスカムに告げたアドバイスは、ビジネスに必要とマチルダから騙し取る10万ドルはおとなしく渡し、行方を眩ませてもらうのが最良の策、と。納得できない依頼主バスカムにジュリアは、その男ダローは危険な男であり、事件に巻き込まれない最善の策は、お金を渡して消えてもらうことだと、強く主張する。
その面談の後、アマンダからジュリアに喜びの電話。ダローにお金を渡すことができるようになった、と。アマンダは、彼は変わったと告げる。 しかし、それから5日後、地方検事長からアマンダが殺された、との電話。連絡が取れないアマンダを心配し様子を見にきたアマンダの兄が、争った形跡のある部屋に残された血痕と封筒から消えた10万ドルなどから事件として通報。
死体は見つかってはいないが、状況から、消えたダローを殺人犯と見なす。隣の夫人の聞き取り調査によれば、前日の夜明け、クルーザーに大きな荷物を運ぶ人影を見たと告げる。 アマンダを最後に見たのは5日前。ダローは彼女の兄バスカムが駆けつけた日の朝に、小雨の中を歩くダローを目撃した、と。要は、アマンダは金曜日まで、ダローは週一杯生きていた、ということになる。
アマンダの兄バスカムには、本当に10万ドル渡すよう伝えたのか、と疑念を呈する。この兄もお金に困っており、アマンダを殺害する動機はあると告げる。ダローの愛人のもとも訪ねるがダローの行方は知らないよう。彼女の話ではダローは借金取りに殺されたのではないかと話す。地方検事長は、アマンダはダローに殺害され、ダローは借金取りに殺害された、との見解。しかし私立探偵のジュリアは疑問を抱き地方検事長の許可を得て、犯行現場の調査続行。現場に訪れると隣家の夫人がゴミ箱の傍でゴミの収集がなく溜まったゴミに当惑。が、そのゴミの中に残った二つのアイテムをもとに、ジュリアは事件解明の糸口を得る。そのアイテムとはハンカチとメークアップの道具であった。
ジュリアがアマンダの兄に述べた推理は、アマンダがダローを殺害した、と。その理由は推論の域を出ないが、騙されたことに怒った故か、お金を渡すのを拒否し争いになった末の出来事か、ともあれダローを殺害。助けを求め兄に連絡。到着した兄は妹を救うため工作。彼女にダローの服を着せ、隣家の夫人に目撃させる。メークアップの道具はアマンダの顔の痣を消し、彼女とわからなくするため。
ハンカチやメークアップの道具をゴミ箱に棄て、本来なら既に持ち去られているはずではあったのが、この3週間ゴミ収集者のストライキで、ゴミがすべて残っており発見されたのである。
しかし、これはすべて彼女の推理。結局事件はダローがアマンダを殺害した、ということで幕を閉じるが、ジュリアは兄のバスカムに、今後一生、彼女アマンダを隠し守り通すことになるのでは、と告げ物語は終わる。

2013年9月2日月曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Mayerling Revisited]


メモの日時;1983年7月27日(水)
タイトル: [Mayerling Revisited]
Episode; 0648


タイトルのMyerlingとはオーストリアの首都ウイーン郊外の街。この街の名はオーストリア・ハンガリー帝国の皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッセラが不可解な情死を遂げたマイアリング事件で知られる。マイアリング事件とは、すでに妻子のあるルドルフ皇太子がマリー・ヴェッセラとの結婚を父であり、強圧的なオーストリア・ハンガリー帝国の国王フランツ・ジョーゼフに拒否され、それを悲観してマリー・ヴェッセラと共に死を選んだ事件ではあるが、真相は未だ解明されていない。一説には自由主義思想に傾倒したルドルフ皇太子は暗殺されたとも言われる。この物語は、マイアリング事件をベースに展開する。
事件の起きた1世紀後のマイアリングでの物語。アメリカ人の若き女性キティ・スコットはオーストリアで出会った青年デイビットと恋に陥る。デイビットは財閥の御曹司、キティは普通の家庭に生まれた教師。二人の結婚に対し、デイビットの父親はそれを拒否。キティはふたりの関係とルドルフ皇太子とマリーの関係を重ね合わせる。強権的な皇帝と財閥のオーナー、親の操り人形と自嘲する皇太子と父親と抗する気持ちの弱いデイビット。皇太子とマリーが知り合って情死を遂げるまで3か月、キティとデイビットが知り合って今に至る期間とも一致する。
そうするうちに、キティはルドルフ皇太子とマリー・ヴェッセラの「声」を聴くようになる。また、その姿さえも「見る」ようにもなってゆく。キティはそのことを、実現できなかった二人の人生を全うできるようにとのメッセージとも考えるようになる。
ある日デイビットの父親からの面会の電報。時刻は3時、キティひとりと話をしたいと。このことも、ルドルフ皇太子が父の王に独り呼びだされ、結婚を拒否された時刻と一致する。で、キティの面談もルドルフ皇太子が父との面会の直前、母親から優しく接されたと同じく、デイビットとの母親から優しくも、実業家としてその後に待ち受けるデイビットとの厳しい人生を示され、そしてその後現れた父親からの強圧的な「拒否」で終わる。
嘆くキティ。マイアリング事件では、すべてを失うことを恐れたルドルフは死を選ぶが(ブルガリア王国との何らかの関係に一縷の望みを抱いていたようだが、十分に聞き取れなかった)、この物語はデイビットが明日キティと結婚するとの強い決意で話を終える。自分の意思を放棄したルドルフ皇太子とは異なり、キティの「見聞き」したルドルフ皇太子とマリー・ヴェッセラの行動は、キティではなく自分に示されたメッセージとしてデイビットは自分の意思である「結婚」を貫く。そのことが、ルドルフ皇太子とマリー・ヴェッセラが全うできなかった人生を遂げるべく、デイビットとキティに託したものであった。