2016年5月21日土曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Portrait of the Past]

第百三十七話

メモの日時;1983年10月6日(木)
タイトル: [Portrait of the Past]
Episode;1391


代々宝石商を営むジェイソン・ハリーのもとに婦人マリア・ベイカーが訪れ、ブローチの修理を依頼する。そのブローチを見たジェイソンはそのブローチの紋章を見て驚き、どこで手に入れたのか尋ねる。夫人は養父であるマグネル・ウィットモアのものであると告げる。マグネル・ウィットモアは既知の人物ではあった。
ジェイソンが驚いた理由は、50年前、叔父のサイモン・ハリーが20歳の時に描いた若い女性の肖像画にその紋章が書き込まれていたからであり、その女性は謎の死を遂げていたためである。
叔父の家を訪れ、事の次第を告げると、叔父は宝石職人の見習いをしながらも、画家を志していたのだが、この肖像画を最期に絵を描くことをやめた、と言った。ジェイソンは肖像画を凝視し赤い服を着た赤毛の美しい女性の姿、そしてブローチと同じ紋章を確認する。
修理を終えマグネル・ウイットモアの館にブローチを届ける。マグネル・ウイットモアも現れ、ジェイソンは尋ねに応じ叔父が宝石商のサイモン・ハリーであることを伝える。マグネル・ウイットモアもサイモンのことを知っていた。ジェイソンがこのブローチは若い女性がもっていたものでは、と尋ねるとマグネル・ウイットモアは突然怒り出す。他人の事情に詮索するのは不愉快と怒り、退去を求めるも、ジェイソンが帰り際、このブローチの紋章をシェリーという家系のものではとの言葉に、マグネル・ウイットモアは驚き、持病の心臓発作を引き起こす。
発作がおさまった後、失礼を謝るジェイソンに、マグネル・ウイットモアは、なぜシェリーという名を知り得たか訪ねる。ジェイソンは、彼女を見たと応える。とっくの昔に亡くなった女性を見ることなど、と応えるマグネル・ウイットモアに、肖像画で見たのだ、とジェイソン。
叔父の描いた肖像画に描かれた赤い服を着た赤毛の美しい女性を説明し、シェリーであることを確認。その肖像画を見ることを望むマグネル・ウイットモアに肖像画を持参すると話す。彼は50年もの長きに渡り彼女の悪夢に取りつかれており、薄れる彼女の姿を呼び覚ますためにも愛した女性の肖像画を見たいと告げる。
翌日ジェイソンは墓地を訪れシェリーの墓を探し、その名前がサラ・シェリー。1912生まれ1930年死亡。18歳で亡くなったことを確認。叔父の家に訪れ、サラ・シェリーのことを尋ねる。どうしてサラと言う名前までわかったのか訝るサイモンに墓地で確認したことを伝えると、サイモンは彼女とのことを話しはじめる。
サラ・シェリーは孤児として育ち、教師を勤めていた。当時宝石職人の見習いをしていた叔父のサイモン・ハリーは恋に落ち結婚も望み、特別な存在となるために、紋章をつくったのだと。そして肖像画は彼女に頼まれ彼女が亡くなった年の6月のはじめと最後の日に描き上げたと話す。
サイモンが求婚するも、生徒の許しを得なければ、などと冗談で返し取り合わない。貧しい宝石商の見習である叔父とのピクニックも退屈そう。そして話の中で友人の女性から素敵な男性を紹介されたと伝える。その男性はマグネル・ウィットモア。お金持ちの彼とドライブをしたことなどを嬉しそうに話す。サイモンは寄宿舎に帰宅した時間が遅かった、などと非難すると、スパイするなど不愉快と逆に非難される。お金持ちの恋敵に叔父は心穏やかならずであった。そして彼女は二人のどちらと結婚するか5月末には決めると話す。サイモンが彼女に会ったのはそれが最後であった。

ジェイソンは叔父に肖像画をマグネル・ウイットモアに見せることの許しを得て持参。感謝するマグネル・ウイットモア。そして肖像画を見ながら当時の事を話し始める。サラは6月にどちらと結婚するか決める、と。その相談に友人に列車に乗り相談に行く日のこと、マグネル・ウイットモアは車で送る予定であったが、列車の時間まで余裕があるのでドックの辺りを散歩。彼は誰かに後をつけられていることを彼女に伝える。
そして車に戻る途中、深くなった霧のために彼女を見失い、その後教会に向かい祈りを捧げた、と。生きた彼女を見たのはそれが最後であったと離す。マグネルはジェイソンに、後をつけていたのはジェイソンの叔父のサイモンであったと告げる。そのことは彼女には伝えていない、とも。

場面は変わってサイモンの家。謎の死を遂げたサラの容疑者としてマグネルが浮上したが、叔父はマグネルは事件に関わりないと話す。マグネルの後をつけた叔父は教会で祈るマグネルの姿を警察官である友人のトムと目撃。そのとき、パトロール中の警官がサリーの変死体を発見の報。溺死であった。
警官のトムはマグネルを拘束。その理由は、巡回中の警察官が霧の中でマグネルに出会い、そこで彼の名前がメモされ、またそのとき、彼は"I am in charge. I am cursed man"などと話し,海を指さし警官に浮かぶ死体を指し示したという事実があったためである。
容疑者として拘置された。しかしマグネスは容疑事実を否定。当日、車で送る予定であったが、列車の時間まで余裕があるのでドックの辺りを散歩していると霧が深くなり彼女を見失う。彼女を見失った後、教会で祈っていたと話す。そしてその姿は叔父と警官も目撃しており、教会で目撃したその時刻は巡回中の警官がマグネル・ウイットモアに職務質問した時と同時刻であった。
同じ時刻に別の場所に現れたマグネル・ウイットモア。どちらが本物のマグネルなのか?裁判でも結着はつくことがなかった。はっきりとした説明は聞き逃したのか、無罪となったのだろう。
その夜、叔父のサイモン・ハリーの夢にサリーがあらわれ、友人ジェーンと相談しサイモンと結婚することに決めたと告げる。一緒になるまで共に居る、と。そして叔父が亡くなるとともに肖像画も消え去った。
最後にブローチがどうして手に入ったか、との下りはよく聞き取れなかったのだが、叔父の手元にと言った印象を受けた。それならどうしてマグネル・ウィットモアの養女が持っていたのだろう。英語のできる方の謎解きをお願いしたい。

2016年5月16日月曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Mind Over Mind]

第百三十六話

メモの日時;1983年10月5日(水)
タイトル: [Mind Over Mind]
Episode;1356



銀行に勤めるある女性事務員が、突然現れた男がメモを示すと何も抵抗せず500ドルを手渡す。横の席の同僚ジェリーがそれを目撃し上司に報告。女性事務員はそんな記憶はないとし、ジェリーが嘘をついていると主張する。
捜査に精神医が呼び出され、彼女を面接。彼女は睡眠状態にあったと判断。事件が起きたときも同様の状態であったと推測する。そこに彼女の恋人が現れ、彼女に催眠術をかけたと告白。事件は、お金が欲しかったわけでもなく、常に彼女を支配していたかったための結果であった。

2016年5月14日土曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Adolph and Eva]

第百三十五話 

メモの日時;1983年10月4日(火)
タイトル: [Adolph and Eva]
Episode;1355

アドルフ・ヒットラーとその愛人であり、1日だけの妻であったエバ・ブラウンの最期を描いた物語。
時は1945年春 。4月29日。ロシア軍がすぐ近くまで進攻したベルリンの地下壕にヒットラーとエバ。目の前には7.65口径と少し小型の7.35口径銃そして毒薬。小型の銃はエバが父親からもらったもの。エバは戦火の中、ヒットラーの別荘にあるベルヒステガーデンよりヒットラーの秘書のマーティン・バウマンによって呼び戻された。敗戦が決定的なものとなり、ソ連軍や英国軍に囚われる前にヒットラー自殺を説得するためである。
自殺を逡巡するヒットラー。ソ連軍に囚われればモスクワ動物園で晒し者、アメリカ軍事に囚われれば戦争犯罪人として法廷に引き出される。砲火が近づく中、残された時間はない。
エバが戻ってきた時、ヒットラーは休息中。目覚めたヒットラーはエバを馴染みのペットネームで呼びかける。自殺を示唆するエバにドイツ軍の将軍を呼び出すように告げるが、その将軍達は逃走し連絡が取れない有様。将軍を反逆者と呼び激昂するも、イタリアや北アフリカに展開した300万のドイツ軍は既に崩壊していた。

エバの回想。二人が最初に出会ったのは1929年。エバが17歳のときハインリッヒホフマンの写真スタディオで働き始めたその日のこと。この写真館はナティス党指定の写真スタディオであった。家に戻りハインリヒホフマン写真館で働き始めたと話すと、家族(姉)はナティス党に関係深い場所であり、ヒットラーも訪れるスタジオで働くことに反対する。その写真館は無垢な女性を雇いヒットラーのご機嫌をとるような店である、と。しかしエバはヒットラーに既に会ったと告げる。そして家族の心配をよそにエバはヒットラーに惹かれたと告げる。ユダヤ人根絶を唱えるヒットラーと関係しないように家族は説得するがエバは聞く耳を持たない。
その後ヒットラーは度々写真館を訪れ、エバを食事に誘う。ベジタリアンのヒットラーは宴を整え、エバの好みのアメリカの映画の手配をする。こうしてミュンヘンの教師の娘に生まれ、3姉妹の真ん中の娘であるエバはヒットラーと一緒に住むようになる。

場面は変わり再びヒットラーとの会話。ヒットラーは先に死ぬと告げ、エバに銃の扱いは確実かと念押し。エバはヒットラーを巡るマルガなどの恋敵に悩み、一度拳銃自殺を図ったことを想い起す。
ヒットラーは世界制服が失敗に終わったことなどに激昂しながらも、次第に自殺への心の準備が整い、good byとの最期の別れを告げる段になるが、またも心変り。good by ではなく永久に共にある旅立ちであると言うだし、秘書のマーティン・バウマンを呼び宴の準備命じる。訝しむバウマンにこの宴はエバとの結婚式であると告げる。そしてエバに結婚の申し込み。エバが16年待ち続けていたその時がやってきた。
将軍や親衛隊、そして最大の恋敵であるマルガ、戦火のもと呼び出した立会人同席のもと結婚式が執り行われる。結婚指輪はマルガの申し出を断固断わり、ヒットラーの命により秘書が用意。それは、強制収容所で取り上げた宝石ではあった。

結婚式の翌日、二人の最期の日。ヒットラーはエバに銃での自殺を止めるように告げ、美しい姿を壊さないようにと服毒自殺を命じる。毒薬が効くかどうかが心配で愛犬に効き目を試す念の入れ方である。そんな時、秘書のバウマンが訪れ、同盟国イタリアのムッソリーニがイタリア民衆によってリンチに処せられたと伝える。
ついにその時が来た。エバは銃でヒットラーの頭を撃ち抜く。エバはソファーに横たわり、長き愛人、1日だけのつまり、そして今は未亡人といったことを想い起こしながら服毒自殺を遂げる。二人の遺体は敵に見つからないよう隠された。

2016年5月12日木曜日

CBS Radio Mystery Theater  [The School Mistress]

第百三十四話 

メモの日時;1983年10月3日(月)
タイトル: [The School Mistress]
Episode;1390

アントン・チェホフの短編を脚色した作品。とはいうものの、チェホフのThe School Mistressには殺人と言ったシーンはないように思うのだが、それはそれとして、このラジオドラマでは、殺された人物の身元確認に赴く女教師と橇(そり)の馭者の会話から始まる。
場所はモスクワを遠く離れた寒村。橇の馭者であるセミヨンは女教師マリアのもとを訪れ、警察に赴くため迎えにきたと告げる。目的は殺人事件の被害者の身元確認のため。被害者は顔が半分銃で潰されており身元がわからないが、どうもマリアが付き合っていたセルゲイ・ハノフのようである、と。セルゲイ・ハノフがこの村に住んでそれほど長くないので、マリアだけが頼りのようである。
被害者がセルゲイ・ハノフでないことを祈りながら警察に向かう道すがら、セルゲイは働くこともなくチェスなどを楽しむ無為の生活をしているとセミヨンはセルゲイにいい印象はもっていない。また、犯行はお金目的ではないとの警察の見解などを話すセミヨンに少し黙るようにとマリアは願い、セルゲイと最初に会った時のことを思い起こす。セルゲイはボランティアでおこなっている学校の試験審査官(examiner)としてマリアの前に現れ、彼女はその魅力に惹かれていたのである。

警察署に到着し心を落ち着けるため少し休息し、ついに身元確認。セルゲイ・ハノフが左耳につけていた黄金のイアリングが決め手となり被害者はセルゲイ・ハノフであると判明。失意のマリアは気を失う。気を失ったマリアは夢で、母親を肺炎で亡くしたこと、そして父との会話で勉強し教師となることなど昔のことを想い起す。
気を取り戻したマリアは署長室で休息。夢で見た両親のことなどをセミヨンに話す。セミヨンは警察署のある市庁舎に月に一度給料をもらうために学校から町までマリアを橇ではじめて送ってきたことなどを話すが、マリアはセルゲイには教師と試験官という立場でその前に会っていたことを告げる。署長室で休息をしながらセミヨンとともにセルゲイに会った日のことを回想する。
教師となって13年、何の変化もない単調な日々。月に一度市庁舎に来る道すがらの細々したあれこれなどもすべて覚えている。そんな時に現れたのが村で唯一の四頭立ての馬車に乗る地主階級の魅力的な男性セルゲイ・ハノフ。試験監督官としての彼に学校の粗野な使用人に対するクレームを2年も訴えているが何の進展もない、といった会話などをとおし、マリアは益々セルゲイ・ハノフに惹かれてゆく。
セミヨンは教育委員会の試験監督官といっても年に一度の仕事。後は無為に過ごすだけのセルゲイを認めず、対抗心からか、勇気を示すため無謀な道を進みマリアをずぶぬれにし怒らす始末。そんなことを想い起すも、回想から覚め、セルゲイが亡くなったという現実に前途を悲観する。
再びマリアの回想。踏み切りで立ち止まっているときにセルゲイからハンカチを渡させるなど紳士的な振る舞いに一層惹かれてゆく。また彼の女心を惑わすような、一度の過ち、すなわち彼には妻がいるのだが、病弱のため療養生活を送っているといったことを話し、その後二人の付合いがはじまる。そんなマリアを案じ、またセルゲイへの嫉妬もあり馭者のセミヨンはセルゲイ・ハノフの家に訪れ、モスクワに住む兄弟に調べてもらったセルゲイの既婚の事実などを伝え、マリアに近づかないようにを求める。セルゲイは既婚の事実はマリアも知っていることと反論。自分のことを調べるスパイ行為に激昂し、今後彼女に不都合なことを話したり、無断で訪れた時は銃で殺す、と伝える。
場面はマリアの誕生日。セルゲイは食事を準備し、食卓での会話でセミヨンが不都合なことをしていないかなどと尋ねる。マリアはセミヨンを自分のことを守ろうとしてくれているだけだと言うが、セルゲイはマリアを守るのは自分であると述べ、いつの日か結婚しようと口にする。そして二人の幸せのために、とのセルゲイの言葉に、マリアは三人の幸せ、と告げる。彼女はセルゲイの子供を宿していた。驚き、平静を装うセルゲイ。セルゲイはこの事実を誰も知らないことを確認する始末。彼はマリアと結婚するつもりなどなかったようである。
回想は終わり、事件は馭者のセミヨンの犯行、と。セルゲイの妻は既に亡くなっており、その事をマリアに知らせない彼の不実が犯行の主因のような会話が警察署長との会話から窺える。ひょっとしたらマリアにその事実を知らせ、彼女の気持ちを忖度した犯行のようにも思える。
セルゲイの子を宿したマリアは村を離れ、モスクワに。娘には父は勇敢な兵士として亡くなったと告げることになる、といった余韻を残し物語は終える。

2016年5月10日火曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Yearbook]

第百三十三話

メモの日時;1983年9月30日(金)
タイトル: [Yearbook]
Episode;1354


ひとりの婦人ローズがいつものとおり夜ジョギングしていると、怪しい車を見かける。男が死体のようなものを車のトランクに入れているように思い、警察に通報。警部が来るも証拠はみつからない。ただ。婦人はその男に見覚えがあった。
翌日警察を訪れた婦人は、その男が自分の高校時代の同窓生で、ハンサムでlady killerと呼ばれるほどの男であったことを、自分の卒業アルバムで確認したと知らせる。その男の名前を聞いた警察は、彼は金持ちの女性と結婚し成功し、有名人となっていると伝えるが、彼女は彼の高校時代の悪い印象から、何かあると確信する。警察は早速確認のため彼に電話するが、タイヤがパンクして困っていたのだと返事を寄越すだけであった。
婦人は何か手掛かりを探ろうと、自分の仕事である雑誌販売のセールスを利用して彼の妻のことを探るが、彼女はロスに出かけ、1ヶ月ほど戻らないと男は告げる。しかし、あまりに熱心に妻のことを尋ねる事に不審の念を抱いた男は、電話の主が夜道であった婦人であることに気づく。
ますます疑念を抱いた婦人は私立探偵を訪ね調査を依頼すると、偶然にもその私立探偵もその男の婦人から彼の素行調査を依頼されていたのだが、数日前から連絡がなくなっている、と。
ふたりはその男が婦人を殺したと確信し、二手に別れて調査をはじめ、ローズ婦人は、その男がテニスクラブで付き合っている女性を見つけ出す。私立探偵も婦人がホテルからいなくなっていることを見つけ出す。男の付き合っていた女性のところに調べにゆくと、ルームメイトは年配の男と付き合っていること、そしてその男の事をよく思っていないこと、さらに、数日前から姿が見えなくなったと話す。
こうして調べた事実から、ふたりが出した結論は、その男は婦人を殺し、どこかに隠し、女優志願であった男の愛人を身代わりにロスに行かせ、アリバイをつくり、そしてホテルから消えたのだと警察に訴える。
そのことを警察に話をしているとき、電話がかかり婦人が発見されたと知らされる。てっきり婦人の死体が見つかったと思ったのだが、婦人は元気だというロスからの電話であった。
確信が吹き飛んだ二人は落ち着いて、一時は昔の偏見から人を判断してはいけないかとも思うのだが、明白な事実の見逃しはないかと反省し、そこから見いだした結論は、彼が殺したのは婦人では泣く愛人である、ということであった。
再びルームメイトのもとを訪れ、何か手懸りになるものはないかと尋ねると、テニスクラブでの話とは異なり、彼女は会計士志望で、いつも計算機を持ち歩き、決まった時間になると“ピー”と音が鳴り、目覚ましがわりに使っていたということがわかる。
私立探偵はこの話を聴き、ローズ婦に愛人を隠している場所を突き止めると約束し、翌日ふたりで男のもとに訪れ、墓地で彼女を見つけたことを伝え、呼び出した警部に男を逮捕させる。
私立探偵が発見した理由は、ルームメイトから聞き出した、朝目覚ましの音がなる時刻に墓地に行き、音のする場所をつきとめた、と。男の完全犯罪の唯一の失敗は、彼女のポケットを空にしなかったことであった。