2016年2月21日日曜日

CBS Radio Mystery Theater  [His Fourth Wife]


第百二十七話

メモの日時;1983年9月22日(木)
タイトル: [ His Fourth Wife]

Episode;1314


英国チューダー王朝ヘンリー8世とその四人目の女王アン・オブ・クレーブスの話。
話は宮廷肖像画家のホルバインの回想という形式で物語ははじまる。ホルバインはタイトルにある4人目の女王アン・オブ・クレーブスの肖像画を描いた画家である。
(3人目の女王ジェーン・シーモア)を亡くし、新しい妻を、とヘンリー8世の股肱の臣トーマス・クロムウェルに迫るヘンリー8世。女王には誰でもいい、というわけにはいかないと、言を左右にこの話から逃れるようとするクロムウェルに対し、明日迄に候補者を挙げるべし、とヘンリー8世は命じる。
翌日クロムウェルが提示した候補者はドイツ神聖ローマ帝国クレーブス伯爵の娘アン・オブ・クレーブス。クロムウェルは対フランスへの対抗勢力としてドイツとの関係強化を強調するが、王は気に入らない。24歳にもなって婚姻をしていないのは、見目麗しくない故のことであると反論。逆に王からの提案はデンマーク王国のクリスティーナ王女。16歳の美しい王女ではあるが、デンマークとのアライアンスは(気に入らない女王との離婚を認めないローマ法皇と決別し、英国国教会をつくり、欧州大陸諸国から孤立している)英国に大きなメリットはないと反論。話が膠着。
そこで、壁にかかった3人目の妻であるジェーン・シーモアの肖像画を見て想いに耽るヘンリー8世はある提案を思いつく。二人の妃候補者の肖像画を見て判断しようと。そこでお呼びがかかったのが宮廷肖像画家であるホルバイン。クロムウェルからはアンを実物以上に美しく描けば大金を褒美に渡すとの提案も、画家として見た姿を描くとその提案を断り肖像画を描きに旅立つ。
最初はデンマーク王国のクリスティーナ王女。驚くほどの美しさ。しかし姫は自分の3倍も年上の男と結婚する気はなく、愛する人と結婚すると話す。そして候補者がアン・オブ・クレーブスであると聞くに及び、愚鈍なアンとの比較をされることにも怒りを覚える。その結果、肖像画を描きはじめるとともに次第に生気がなくなり、出来上がった肖像画は王女の心の奥の拒否感を表現するものとなっていた。王女の伯父は英国とのアライアンス強化のために、より美しい仕上がりを願うも、クリスティーナ王女はアンを実物より美しく描いて欲しいという始末。
次にアン・オブ・クレーブスのもとに。そこにはアライアンス強化を画策するトーマス・クロムウェルの姿もあった。アンが登場。愚鈍な王女との印象。しかし、肖像画を描きはじめ、アンが自分の感情を率直に話すに及び彼女に対する印象が大きく変化する。王家でも邪魔者扱い、政略の道具として見られていなかった自分は、この機会によって英国の女王となれるのだ、と。その激昂し生気漲る彼女の内面をホルバインは描き出す。
そして肖像画公開の日。気もそぞろなヘンリーが同時に覆いを外し、王妃に選んだのは、アン・オブ・クレーブスであった。しばらくして、待ち望んだアンがヘンリー8世の前に登場。しかしそこに現れたアンは元の愚鈍な姿。ヘンリー8世もアン本人がわからないほど。感情のほとばしる肖像画とはまるで違うアンを見て、儀礼的挨拶もそこそこに、ヘンリー8世はアンの元から立去る。去り際にヘンリー8世はトーマス・クロムウェルに後から話があると告げものがたりは終わる。
後日談:アンは(半年も経たず)離婚。トーマス・クロムウェルもヘンリーから嫌われ(後日処刑)。ホルバインはトーマス・クロムウェルから、お褒めの言葉をうけるも、手心を加えたもちはなく、画家の目に見えた姿を描いただけと断言。その後ヘンリー8世の5人目の妻であるキャサリン・ハワードの肖像画を描く(宮廷画家を剥奪された、とも)。そのキャサリンにも過酷な運命が待っていた。

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