2016年1月24日日曜日

CBS Radio Mystery Theater  [The Actress]

第百十話

メモの日時;1983年8月30日(火)
タイトル: [ The Actress]音声は左の英語タイトルをクリック
Episode; 0722

舞台の袖で、演出家と女優の夫との会話から物語がはじまる。ギリシャの大悲劇を素晴らしく演じている婦人は、ごく普通の女性であるのに、どうして素晴らしい演技ができるのか不思議に思っている。夫に裏切られ復習に子供を殺す悲劇をどうして演じることができるのだろう?
劇が終わり、彼女に話しかけるのだが、彼女は母親に電話をかける。母親はこの何十年も窓際に座り、ひたすら食べ続けるだけの生活を送っている。彼女が言うのは、アーモンド・マカロンを食べたいと言うだけである。
夫はこの母親のことをあまり良く思っていない。婦人にもそのことを言うのだが、彼女は母親がどうしてあのようになったのか知りたいのだ、と。昔は素晴らしい女優であったのに、夫が彼女を棄てて家を出て行って以来、38歳から68歳の今日まで、ひたすら座り、背中が痛いと食べ続けるのは何か堪え難い苦痛があったのではないかと、そのことを知りたいだけなのだと夫に話す。
この劇が上演されて以来、婦人が昔と少し違っていると感じた夫は、演出家にもう上演を止めて欲しいと要求するが、契約で6月までは中止できないと断る。婦人は、昔は自然に会っていた夫の前の婦人ヘレンとも今回は会おうとしない。そのためヘレンは傷ついているのだが、それはヘレンの心理状態を知りたいから。彼と別れ、他の女性に彼を獲られた女性の心理を知りたいらしい。それは現在演じている劇の主人公と同じ状況である。
彼女は、熱情、苦しみなどは自分の記憶、体験で感じ、演じられるのだが、唯一未だ実感できないのは、子供を殺すときの心理状態であり、これがわかればもっと素晴らしく演じられると言い出す。
彼女は母親のもとを訪れ、再度、夫が彼女を棄てて出て行ったときの、怒り、自尊心が傷つけられ、それ以来ひたすら生き続けるだけの人生、何か恐ろしいことがあったに違いないと母親に問うが、母親はそれに応えようとしない。

マックス(?)が訪れ話をしている時、彼女が戻ってきて2階の息子のところに行くが、何かセリフのようなことを言っているようなので、心配になり駆けつけると、ナイフをもって子供を殺そうとしていた。

一応の解決を見たある日、マックスが再び訪れ、この劇が好評だったので再演したいと申し出る。夫は断るが彼女は承諾する。そんなある日、彼女は母親のもとに訪れ再び疑問を詰問しているとき、母親は心臓発作で亡くなってしまう。
しばらくして、夫が2階の彼女の部屋に行くと、そこで見たものは、椅子に座りマカロンを食べたいという婦人の姿であった。

所感;名優は役の人物に成り切り、想像の世界に入ってしまう。そんな彼女の悲劇を主題にしている物語である。タミー・グライムが女優を演じなかなか面白いドラマであった。

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