2013年8月31日土曜日

CBS Radio Mystery Theater  [Ward Six]


メモの日時;1983年7月26 日(火)
タイトル: [Ward Six]
Episode; 0930


アントン・プーシキンの作品を脚色したもの。
話は20年に渡り家政婦ダリューシュカが仕えた医者に起きた「不条理」な出来事を回想する形で展開する。20年ほど前、市長に連れられ医者アンドレ・エフィミッチが彼女の前に現れる。新任の院長として使命に燃えるアンドレ。市長は病院を案内するに際し、裏手にある病棟へ彼を連れて行く。そこは精神を病んだ患者を収容している病棟。第六病棟と呼ばれている。監視人のニキータは粗野で、病棟も不潔で暗く、5名の患者が逃げないように、まるで牢獄の如き建屋。改善を指示するも、実行されることもない。
当初改革の意気込みも強く懸命に働くアンドレも、改善への支援もなく、押し寄せる患者を捌くだけの日々に倦みはじめる。地域での知的会話は望むべくもない日々で、唯一の会話は郵便局長であるミハエルとの交流。そんな同じ繰り返しの日々が延々と続く。その間、医者としての情熱も薄れ、医者としての務めもおろそかになり、読書に浸る日々となる。
数年前(院長に就任して17年ほど)、市長が訪れ、予算がついた、と。改善の機会と喜ぶアンドレに市長は、その予算は新しい医師の採用に充てたと告げる。失意のアンドレ。そこに現れた新任医者ハボルト。その立ち居振る舞いに失望したアンドレは打ち拉がれ、医者としての情熱は完全に消え去る。
それから数ヶ月たった頃、ある噂がひろまる。それはアンドレがしばしば第六病棟に姿を現すようになった、とのこと。1日に3回も訪れることもある、という。家政婦のダリューシュカの記憶によれば、乞食のモーセイカを見かけその後を追いかけ第六病棟に行ったとき、新しく入所した患者イワン・ドミートリッチに興味を覚え、頻繁に第六病棟に行くようになった、と。この病院に来て20年、始めて知的会話ができる人物に会ったとのことである。
それからしばらくして市長からの呼び出し。アンドレが出向くと、市長の他に医者のハボルトその他にも人も同席。あれこれ質問するも、どうもアンドレの精神状態を調べる会合のようであった。その呼び出しの後、今までにもまして無為の日々。しばらくしてその会合の出席者のひとりが現れ、院長辞任を勧告される。郵便局長のミハエルも心配し、休養を勧め、共に旅に出る。
元軍人であったミハエルの赴任先であったワルシャワを訪れ、そこで賭け事で負け込んだミハエルに金を貸すことにより、友人関係がギクシャクするも、帰国。家に戻るとそこの主人としてハバトフが迎える。アンドレが旅に出ている間にアンドレに替わり院長に就任していたのだ。失意のアンドレ。椅子に静かに座り、20年もの間訪れることもなかった教会に行く以外は、六号病棟のイワンのもとに出向く。イワンからも独りにしてくれと、怒られる始末。そんな日々を心配しアンドレを見舞に来たミハエルとハバトフにも、20年間一度も大声を出したこともなかったアンドレが、出ていけ、と大声で怒鳴る。
その失礼を謝りにミハエルを訪れると、病気なのだから適切な治療を受けろ、とのアドバイス。また、ハバトフのもとを訪れると、一緒に患者を診てほしいとのこと。連れていかれた先は六号病棟。そこで衣服の着替えを求められ、それに応じて患者の衣服に着替える。それを見た六号病棟の収容者であるイワン・ドミートリッチは大笑い。言葉巧みに患者として収容されたことがわからないのはアンドレただ一人。ドアを開けろと叫ぶアンドレは監視人のニキータに殴られる始末。そしてその翌日、アンドレはなくなる。葬式に参列したのは家政婦のダリューシュカと郵便局長のミハエルのふたりだけであった。

0 件のコメント:

コメントを投稿